資産形成には「時間の力」が必要
資産形成の基本は長期運用
資産形成の有力な方法として、よく積み立てNISAのことが取り上げられます。
なぜ積み立てNISAが有利だと言われているのでしょうか。
その理由として、「複利の力」をあげる方が多いと思うのですが、私はむしろ20年間という長期運用がポイントなのではないかと思います。
複利運用する期間は少しでも長い方がよい、ということを実感した出来事が30年近く前にありました。
30年前に経験した「ワイド・フィーバー」
1990年10月、ワイドの利回りは、なんと年9.606%まで上昇しました。
ワイドとは、長信行(興銀、長銀、日債銀)が発行していた利付金融債(期間5年)を半年複利で運用し、満期に一括受け取る金融商品のことです(当然ながら今はありません)。
5年満期の商品なので、満期時には確実に元本の約1.5倍になるということで、大変な人気になりました。
長信行の全国の支店で早朝から大変な行列ができ、「ワイド・フィーバー」と呼ばれる社会現象になったので、覚えておられるリタイア世代の方も多いのではないでしょうか。
職場で、「貯金をワイドに預け替えてきたよ!」と嬉しそうに話していた同僚の顔を今でもよく覚えています。
マイナス金利の今となっては、とても信じられない高利回りでした。
私がワイドを選択しなかった理由
しかしながら、その時、私はワイドによる運用を選択しませんでした。
窓口で、5時間待ちとも言われた長い行列に並ぶのが嫌だったのも確かです。
でも、一番引っかかったのは、5年という預け入れ期間の短さでした。
確かに、5年間に限れば高利回りを享受できます。
でも、5年たった満期時点で低金利になっていれば、その後の運用は難しいと思ったのです。
結局、私が選んだのは郵貯の定額貯金でした。
確か、その時の金利は6.33%(期間3年以上)。
ワイドの9.6%にはとても及びません。
それでも、当時、なぜ郵貯の定額貯金を選んだのかというと、最長10年という預け入れ可能期間の長さが決め手でした。
満期まで10年間預けた場合、元本の約1.8倍まで元本を増やすことができたのです。
頼りになるのは「時間の力」
結果的には、10年後のパフォーマンスは、定額貯金への預入の方がワイドよりもよかったように記憶しています。
ワイドを選んだ知人は、5年の満期到来後、金利が大きく低下したため、運用難で苦労していました。
この30年前の出来事は、「複利運用の場合、少々利回りが低くても、運用期間が長ければ長いほど有利」であることを、実感させてくれました。
短期間で資産を増やせれば、それに越したことはありません。
しかしながら、世の中、そんなに旨い話がそうそうあるものではありませんよね。
やっぱり資産形成のためには、それなりに「時間の力」を借りて、地道に資産を増やすことが必要だと感じます。
読んでくださってありがとうございました。
ともに経済的自由を手に入れられますように。