著者は Talks at Google にも登場
本屋で何気なく手にとった、「父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」。
著者は、ジェイエル・コリンズというファイナンシャル・ブロガー。
投資のおかげで、夫婦いずれも働かなくても暮らせるようになった方だそうです。
YouTubeのTalks at Googleでも、J.L.Collinsで検索すると彼のインタビューを見ることができます。
日本語のタイトルではFIRE本だと気づかない…
この本を読んで、最初に思ったのが、日本語のタイトルですごく損をしているのではないか、ということ。
日本語のタイトルだけでは、普通の投資本に見えてしまうのですが…
実はこれ、
“Financial Independence, Retire Early”(経済的自立と早期リタイア)
を意味するFIREを意識した本でした!
最初に気づいたのは、英語の副題をみた時。
- 原題:The Simple Path to Wealth (裕福になるシンプルな道)
- 副題:Your Road Map to Financial independence and a Rich, Free Life(あなたの経済的自立とリッチで自由な生活に向けたロードマップ)
わざわざ “Financial Independence” と書いてあるのですから。
序文はあのマネー・マスタッシュ!
さらに嬉しかったのは、この本の序文。
著者による「日本語版への序文」の次に、「発刊に寄せて」という一文を寄稿していたのが、なんとピーター・アデニー氏だったのです。
この方は、米国のFIRE界隈では有名なウェブサイト “Mr.Money Mustache”を主催するブロガー。
英語で書かれている原書“The Simple Path to Wealth”をみても、わざわざ著者の名前(JLCollins)の下に、
とアピールされているほどです。
この本が、いかにFIREムーブメントを意識した本であるか、がよくわかります。
資産形成のことを改めて考えさせられた
この本は、FIREにとってもっとも重要な「資産形成」について、次のように説明しています。
- 「資産を積み上げるステージ」か、「資産を維持するステージか」かを判断。
- 投資対象は、バンガードのVTSAX(株式)、VBTLX(債券)という2つの投資信託。
- あとは、ステージによって投資信託の割合を調整する。
いずれも、とにかくシンプルに、という考え方です。
そういう中で、私がもっとも印象に残ったのは「ドルコスト平均法を好まない」として、その理由を説明している部分。
積み立て流行りのこの頃ですが、次のような一文を読むと、いろいろと考えさせられます。
…設定した期間が終了し、投資すべき資金を投入してしまうと、結局、その次の日に市場が下落するリスクを負うことになります。
そのほかにも、資産を引き出していく方法やリスクのことなど、長期的な資産形成に関して多くのヒントを与えてくれます。
むすび
内容がいいだけに、日本語タイトルとのズレが惜しまれます。
「父が娘に伝える…」なんて似たようなタイトルはどこかで見たことあるし…
「30の教え」というのも、本のタイトルとしては、ありふれているような気がするし…
それに、このタイトル、ちょっと長すぎる。
先日、取り上げた「最速で経済的自立を実現する方法 FIRE」という本は、日本語タイトルもストレートだし、表装もイエローで強烈でしたからね。
それに比べると、この「父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」は、地味な印象を受けますが、資産形成を中心にまとめられた、シンプルで良質なFIRE本でした。